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2010/02/20

[NASCAR] ダニカ・パトリック Nationwideデビューレース

アメリカでのダニカ・パトリック(Danica Patrick)人気は非常に高い。
2010のNationwideへのダニカの参戦スケジュールのスタートがDaytonaになるかどうか、かなり遅くまではっきりしていなかったが、参戦が決まり中継されたので全米でかなりの高視聴率だったとのことだ。
所属チームがJR Motorsportsで、デイル・アーンハート ジュニア(Dale Earnhardt Jr.)とリック・ヘンドリックの共同オーナーチームだと言うことでも話題になる。

本番の方は、レースの中盤で、12台の関係するクラッシュに巻き込まれてリタイアし、35位フィニッシュ。

IndyCarやF1からNASCARに移ったドライバーが初年度から良い成績を上げることができないことは、これまでに明らかになってきている。だから、ファンは応援はしていても「上位に入ることはないかも」、と思っていたはず。今回の成績も織り込み済みと言ってよいだろう。
スタート後はラップダウンされて、そこから挽回し始めて20位程度にいたところでクラッシュだったらしい。

ダニカ・パトリック、12台のクラッシュに巻き込まれる NASCAR.comのビデオ

2010年、ダニカ・パトリックは少なくとも12レースに出場すると発表されている。

ダニカがレベルの高いNASCARのCupシリーズに直接参戦ではなくNationwideで経験値を上げるという選択をしているところは賢明ではないかと思う。それにIndycarとの掛け持ち参戦でフルシーズン参戦できるわけではないこともあり、2010はNationwideで様子を見るという選択なのかも。

NASCARの運営側はTV視聴率を昨年よりも上げたいとの希望があり、これはチャンスだと考えているらしい。 nascar.comの記事などではダニカ・パトリックのファンはDanicamaniaと呼ばれている。

日本ではG+ではNASCARが放送されるがNationwideは放送されないので、しばらくはインターネット経由の動画と記事で活躍を確認することになるだろう。

2010/02/17

タッド・バッジ 「仕事も人生も4つのボールでうまくいく」

ワーク・ライフ・バランスは、ワークとライフを天秤にかけてバランスを取るのではない。この2つを無理に分けることも不要。それを目指してもうまくいかない。そうではなくて、ジャグリングと同じでどのボールも落とさないこと。もう一つは、「ジャスト・イナフ」(just enough)、「足るを知る」ことでうまくいく、という。

著者の場合は、自分(self)、人間関係(family)、社会(volunteer)、仕事(work)の4つがボール。この中では「自分」が土台になる。

アメリカで教育を受けている人にしては珍しいと思うのは、転職はリスクを伴うことを強調していて、「次の仕事が決まるまではやめるな」といった実用的なアドバイスが書かれていること。また、転職しなくても成長はできる、と言い切っている。

著者自身は「自分が成長すること」という大きな人生の目標があり、それを実現しようとしてその時々の選択をしているだけで、キャリアプランがあったわけではない、とも言っている。

スケジュール帳の見本などもついてはいるがそのフォーマットがポイントなのではなく、4つのボールのバランスを考える時間を毎日5分でも持つこと、手始めに仕事ばかりのスケジュール帳にそれ以外の項目を加えてみること、というのがやはり基本かなと。

この程度の業績を上げている日本人がいないわけではないし、本を書いている人もいるけれど、ここまで簡潔に書いている人はいない気がする。

1時間程度で読めてしまう本で、あまり期待していなかった割には面白かった。


2010/02/16

エピカコールド アクアモアを買う

エピカコールドアクアモアをリンクシェアのモニターで子どもに使わせた。このときの感想は一長一短だったとこちらは受け取ったので、その後追加購入はしなかった。

ところが、最近になって「やっぱりあれがよかった」と言いだしたので近所のドラッグストアなどを探したところ、普通の「エピカコールド」は売っていても「エピカコールドアクアモア」は見つからない。コンタクト屋さんの店頭にも並んでいないことが多い。

理由は分からないが今(2010年2月)の時点では、楽天やアマゾンなどのインターネットのストアでは、同じ業者さん(ドリームコンタクト)が見つかる。さらに、不思議なのはこの種の商品がそろっていることの多いケンコーコムにも見当たらないこと。

結局、インターネットの検索から楽天に飛び 送料無料の6個パックを購入。

楽天市場でエピカコールド アクアモアを探す


夜のアルバイトなどでエアコンのきいた環境に長時間いる場合に、目が楽とのことなのでしばらくはこれを使うことになりそうだ。

2010/02/15

浜井浩一 芹沢一也「犯罪不安社会 誰もが「不審者」?」

「激増する少年犯罪」というマスコミ(マスゴミ?)報道やTVコメントに対して「統計を見れば増えていないことは明らかだ」と社会学者などが返答する、というやりとりは日常の光景になってしまった。

しかし、このやりとりだけだと余り深まって行かないし、不安な気分の元は何なのかがいまいちわからない、という不満が解消されない。そのあたりのもやもやの根本を割と解消できるかも、という一冊。

統計と刑務所、警察の事情の側面からは、
  • 不可解な事件は減っている
  • 刑務所は社会的なセーフティーネットからこぼれた末に犯罪を犯した受刑者が増えている
  • 無期懲役は終身刑化している
  • 警察は困りごと相談を積極的に受けていることで負荷は激増。
  • 認知件数は積極的な相談対応で増えたから見かけ上検挙率が下がる。
  • 重大犯罪に限れば検挙率は変わっていない。
一方、社会の側面からは、犯罪が増えていないのになぜ「安全な社会のためにコミュニティを復活させよう」というような語られ方をしているのか、という点を考える。
  • 環境犯罪学(破れ窓理論)⇒安全・安心コミュニティのためのパトロールの流れは正しいのか?
  • 地域安全マップなどの活動は犯罪防止に役立つのか?
  • かえっていろいろな人を排除する方向に働き、ひいては「相互不信社会」を作っているのでは?
刑務所に健康な人が余りいない、であるとか、「子どもを守れ」で始まった活動が、かえって不安感を増してしまっている、と説明されてみると、なるほど、と思う。

地元PTAでも、「子ども110番の家」を地域にお願いして回ったり、自転車の「パトロール中」の札を付けてもらったりしている。この本に書かれているように、これらの活動の効果測定は全くしていない。というか、たぶん、事件はほとんど起こらないので効果の測定しようもないのだ。

いろんな人を「不審者」として排除して行くロジックは、「ニート」を排除して行くロジックと根っこは同じような気がする。結局のところ、「みんなでパトロール」をPTAが推進する前に、その中で育った子供たちが作る社会はどうなるのかを少し立ち止まって考えてみよう、ということかな。そう言ってみても、今のPTAでは「子どもが犯罪に巻き込まれる」恐怖が強くて、受け入れられないような気がする。

そういう意味では、犯罪被害者の立場の強化は必要だとしても、もう少し、信頼感のある社会ができるような基礎づくりはなんとかしてやっておく必要はあると思う。


2010/02/13

[ALMS] Asian Le Mans Series 岡山

Asian Le Mans Series 岡山
J-SPORTS

中島秀之アナ
奥 朋栄(童夢)
伊藤大輔

田口朋典レポート

500kmあるいは3時間のどちらか早い方が到達した時点でフィニッシュ。
ここでの優勝により本番のル・マンへの出場権が得られる。
J-SPORTSで放映されたものは2日目(WTCCの決勝日)の録画。
2レースの合計ポイントで優勝が決まる。

最終結果

LM P1
1C. TINSEAUPESCAROLO JUDD
1S. NAKANOPESCAROLO JUDD
2H. PRIMATLOLA ASTON MARTIN
2S. MUCKELOLA ASTON MARTIN
LM P2
1J. NICOLETPESCAROLO MAZDA
1R. HEINPESCAROLO MAZDA
1M. LAHAYEPESCAROLO MAZDA
LM GT1
1A. TSUZUKIASTON MARTIN DBR9
-T. TSUCHIYAASTON MARTIN DBR9
-A. YOGOLAMBORGHINI
-H. IIRILAMBORGHINI
LM GT2
1D. FARNBACHERFERRARI F 430 GT
-A. SIMONSENFERRARI F 430 GT
3T. MILNERBMW E92 M3
-D. MULLERBMW E92 M3

TV画面上では土屋、都筑のアストンマーチンと余郷、井入のランボルギーニのポイントが並んでいたのだが、画面ではランボルギーニがポイントをリードしてル・マンへの切符を手に入れたと言っていた。どっちが正しいんだろう。

LM GT1
「日本チームがトップチームを負かすぐらいの実力がある」中島アナ。
「日本でも切磋琢磨していますからね」奥。


東海大学
LMP1クラスには東海大学が出ているが、朝の走行でトラブル発生。ピットスタートもできず、ガレージで作業を行ってスタート。密山祥吾がドライバーとして参加。

中野信治
ル・マンの常連のペスカローロ(PESCAROLO)はメインのチームと、サテライトのソラ・レーシングが出場。JUDDエンジン。
ソラ・レーシングのセカンドドライバーには中野信治。ソラ・レーシングは前日のレースでは優勝。中野信治は2スティントのみドライブしチームは2位。総合で優勝しル・マン出場権を得た。
「こんなハッピーな週末は何十年振りかっていう感じ。今日はチームメートと騒ぎたいです。」

ロイック・デュバル
ORECA MATMUT AIMにはロイック・デュバルが参加。デュバルはセカンドスティントからドライブした。
交代早々にエンストのような症状で緊急ピットインし順位を落とした。
これはタイヤカスがエアの吸入口に詰まり失火してしまったらしい。ピットで除去した後は、最後まで速く走り総合6位あたりからテイクオーバーし、最終的には2位のソラ・レーシングに迫るところまできた。デュバルは2,3スティントを連続して走行。チームの信頼が厚いようだ。
吸入口は助手席側のシートの上(ドライバーの頭の高さぐらい)にある。「さっき、中野さんとせっていたから、信治さんがタイヤカス投げたんじゃないですか」と伊藤大輔。


JLOC
JLOCランボルギーニ, JIM GAINER, ハンコックKTR、DAISHIN、アストン・マーチンなどGT300クラスマシンがGT1に参戦。JLOCって(ジャパン・ランボルギーニ・オーナーズ・クラブ)なんだよね。

JLOC ランボルギーニ。
井入、余呉のペアで2位に入り、前日と合計で総合優勝。JLOCはこれまで2度ル・マンに出場していずれもフィニッシュまで走り切れず不本意なレースだった。次回のル・マンに参戦の権利を得た。

ヒトツヤマ・レーシング
アストン・マーチンを走らせて優勝。しかし、合計ではJLOCのランボルギーニに届かなかった。

JIM GAINER
もともと童夢とのコラボレーションでル・マンにも出場したこともある。今回はフェラーリF430だがGT300とは違うマシン「レース用をフェラーリから購入して走っているのでしょう」奥。
ドライバーは田中哲也、平中克幸。途中で駆動系トラブルでリタイア。

レイホール・レターマン
Indyではおなじみの名前を岡山で見るとは。ALMSに参戦してるらしい。BMW M3。
終盤にはガレージに入って修理し、リスタート。


オリバー・ジャービス
AUDIのセカンドドライバーとして久々に岡山に。「AUDIは若いドライバーを育てるのがうまいですね。」中島正之。また、ORECAはクラージュを買収したとのこと。

プロトタイプカーのレース
「ル・マンは高速の長いストレートがある長距離サーキット。そこで速く走る車になっているはずなので岡山のようなコーナーが多いテクニカルなサーキットではドライバー的にはフラストレーションがたまるのではないか。」伊藤大輔。
しかし、予選タイムが1分19秒とかなり速いようだ。
車的にもペース的にも「GTとフォーミュラニッポンの中間。GTよりはシャープな感じ。」伊藤大輔

クローズドトップとオープンと両方のタイプが走っていた。

2010/02/11

[PTA] シンポジウム「これからのPTAのあり方」

シンポジウム「これからのPTAのあり方」
~大人の連携からできることへ~

2010年2月11日
横浜市教育会館

たまたま、川端裕人さんのblogで見かけて土壇場でメールで申し込みをして参加。
体調があまりよくなくて、途中で10分ぐらい歌を聞くところ(ジョニーBグッドとか歌ってたような?)があったのだけどそこは中座してトイレで休憩。

前半は特定非営利活動法人 教育支援協会が横浜と政令指定都市を中心に行ったアンケートの紹介。「委員を引き受けて大変だったことは」の問いに、「時間のやりくりが大変」が50%以上あるのはそのとおりかな。これは6回以上経験者でも変わらないらしい。
「委員の選出に関してどのようにお考えですか」では、「全員がなんらかの形で参加するようにすべきだる」が45%。この回答の内訳を見ると、未経験な人は22%程度なのに6回以上(!)の人は58%がこれを選択。

後半のパネルディスカッションは面白かった。
寺脇研、鈴木由香、小正和彦、神代浩の各氏がパネラー。吉田博彦氏 が司会。

文部科学省としては、「PTAは任意参加の団体である(入退会は自由)」というのは事実であると分かっている。「文部科学省が任意参加であると広報するのは簡単なのだが、それで良い方向にいくのだろうか?」(神代)


川端さんが会場からMacBookとe-mobileでtwitterに実況中継。
ご自身でも発言していたりしたからところどころ途切れていたかも。http://twitter.com/Rsider(ハッシュタグは#PTA)
パネラーの寺脇氏も(喋りながら!)twitterに携帯電話から入力 http://twitter.com/ken_terawaki

「PTAは最大のNPO」「できる人ができるだけのことをできるときにやるのがNPO。やりたくない人が入っているNPOはうまくいかない」寺脇氏。

会場からはまるおさんが「優良PTA表彰制度で自由加入(つまり強制)のPTAを表彰するのはやめるべきでは。」と発言。blogに登場する文部科学省の係長氏が会場にいらっしゃったようだ。

実践例として、いくつかのPTAの役員や前役員(というかほぼ全員が会長だった)が自分の所属するPTAのやり方を紹介。

自分としては、寺脇氏の言っていたことが腑に落ちるところが多かった。

「PTAでごちゃまぜになっていることを分離するべき。」
  • 保護者と学校の連絡や相談のための組織である保護者会 (保護者全部をカバーしないと機能しない)
  • 社会活動としてのPTA (これは社会活動に参画したい人が集まってやればよい)

会場では緑と黄色が表裏になった紙を渡されて簡単なアンケートをやった。
「任意参加と言ってしまおうと言う人」
「もう少し考えようと言う人」
でカウントしたら、後者が少し多かったと思う。

たとえば、厚木の森の里小学校の本部の方(?)が、「任意参加を実際に行っているのが子ども会。子ども会は親が役員をしたくないから子どもを抜けさせるため加入率がどんどん下がる。厚木でも50%ぐらいしかない。PTAがそんな風になっていいのか。」との発言があった。

現PTAの本部役員から提起された問題の一つが、お金の問題。PTA会費として集金してそれを元手に行う行事が立ちいかなくなるので「任意なことは分かっているのですが…」という話が複数のPTAから出た。

これに関連しては寺脇氏が


  • 子ども手当からは給食費や学校諸経費は天引きするような仕組みを再検討するべき
  • PTAが集金して名札やら何やらを買い与えるやり方がそもそも無償で義務教育をすると言っておきながら「憲法違反」とも言えるかも。

民間校長の小正氏は「任意参加で活動できなくなることもあるだろうが、それで活動がなくなるPTAなら一度なくしてみてもいいんじゃないか。」と。

最後の最後に神代氏が昭和29年の通達の文章(文部省から下々へのPTAの会則の例示?)を紹介。 この3番目の条項は保護者以外の人たちの参加を受け入れる根拠になる。

会員になることができるものは次のとおりである。
1. 保護者
2. 教員
3. 団体の趣旨に賛同するもの

校長や教育委員会への通知に向けて一歩でも二歩でも努力したい、と。(現職公務員(しかも課長)って大変)


これを寺脇氏が解説して「なることができるもの」というのを任意条項と呼ぶ、これによってPTAは任意参加であると言うことになっている、と。

たとえば、兵庫県ではほぼすべてのPTAが地域住民の参加を受け入れているはず。これはおそらく神戸大震災から来ているのだろう。

地域社会との連携に関連して。
地域がそこに必要な学校を作ることに参加して行く方向性が「コミュニティースクール」化にもつながる。たとえば、農業高校1校で普通科が5校作れるから、と農業高校を潰しているけれど普通科では就職がない、という状況が生まれている。地域に必要な人材を育成していないからだ。

最後の方で川端さんが言っていた「強制のないところにはボランティアの花が咲く」というのはいい言葉だ。

自分の周囲のお金の問題。
たとえば、今の学校では「花いっぱい推進」の活動に22万円という年間予算が付いている。土、種、肥料、苗、にお金を使って学校の花壇を整備する。任意参加にはしたいけれどお金は使いたいという二兎を追うのは無理だから、無理のない予算で無理のない活動、にするのかな?あるいは、「花いっぱい募金」を募集、など?

追記。

このシンポジウムから帰宅して自宅にあった所属PTAの規約をみたら、
この会の会員となることのできる者は次の通りである
1.柏ヶ谷中学校に在籍する生徒の保護者、又は此れに代わる者、
2.柏ヶ谷中学校の校長、教員、事務職員
と書かれていたので今所属のPTAも任意参加だと宣言していたのだった。
実際には「児童・強制加入」で運用中。
どうするか相談を投げてみることにしよう(きっと華麗にスルーされるに違いなく…)

2010/02/10

[blogger] スタティックな固定ページ作成

bloggerの新機能としてdraft.blogger.comで、最近、昇格して通常機能となったものの中に、スタティックなページの投稿機能がある。

通常のblogでは最新記事ほど前に来て、古いものはアーカイブに移行する。
トップページに常に表示する場合、単純なやり方としては、未来の日付の投稿にしておく、という方法があった。これに代わって、スタティックなページを10個作ることができるようになる。

自分はdraft.blogger.comを使っているのだが、最近の投稿ページでは以下のようにスタティックな固定ページを投稿できる。

「ページの編集」で「新しいページ」を選択すると見慣れた編集画面が出てくる。これを投稿する前に表示スペースを選択できる。





タブを選択すると、最終的な表示は以下のようになる。


デザインによるのかもしれないが、あまり「タブ」っぽくないかも。
自分の場合、別のblogでは未来の日付でカレンダーを貼っていたのをタブに移行したことでトップページはすっきりした。

2010/02/05

藤原和博 「校長先生になろう!」

川端裕人さんのblogで「これを読んで教育委員会と教育委員会事務局の違いがわかった」と書かれていたことから興味をもった一冊。

どうしてこの本が世の中に評価されていないんだろう、すごく面白いのに。

体裁は、藤原和博校長が、民間から校長先生になりたい人にすべてを7日間で伝えるというストーリー。
実際に書かれたのは杉並区立和田中学校の4年目。
7日の構成のうち、校長の職務、学校の現状の課題、公立の必要性など、藤原校長から見た問題点の論説もある。

特に面白いのは以下の2つ。

3日目「校長先生養成講座」の108個のキーワードで校長の業務が整理される。ここでは、校長先生の仕事だけでなく取り巻く周辺の制度の矛盾や誤りを指摘している。校長先生になったらこういう矛盾した現場に行くことになるよ、ということも含めた優れた説明。
7日目「「よのなか科」ワークシートを使って校長先生自ら授業をやろう」には有名になった「よのなか科」の教材が入っている。「よのなか科」は報道でも有名になった科目で、疑似(とは言っても文字に落とし込んだ疑似ではない)社会経験を授業の中に取り込むことを意図して組立てられている。

PTA本部スタッフ2年やってみて学校の先生方がいつもお忙しいのは見ていたので、この中にある書類の山で教頭先生や指導主事が忙殺されて本業ができないことも、思ったように教師の異動ができないこともわかっていた。その視点からはその理由が納得できた。

和田中の「地域本部」について:

  • 地域社会が崩壊しているのだから学校を開いても地域のエネルギーを取りこむことはできない。それなら、学校に部屋を作りそこに常に地域の方が来て学校内の活動をすればよい
  • 子どもには親や生徒と違った「ナナメの関係」が必要
  • 学校内に地域社会を再生することが回り回って地域にも貢献する
  • 「公立」は真のコミュニティスクールとして地域が運営するものと考えよう
  • 地域本部で活動する会長は「村長」レベルのマネジメント能力が必要
など、当然だが、単に「地域本部」のカンバンを掲げればよいわけではないなあ、と納得。

地元の海老名市での教育長(教育委員会事務局を仕切る実務トップ)は、自分が知っている間(この10年以上)は校長を退職して就任するポストとなっている。なので現場には詳しいが行政的な動きはどうなのだろうか。

PTA本部スタッフは学校を知る意味でも読むべき本。

2010/02/02

林 成之 「<勝負脳>の鍛え方」

「勝負に勝つには」という切り口で脳のことばかりではなく、スポーツ医学的な話も織り交ぜて「脳や神経の特性をどのように利用すればよいか」を説明している。

サイコサイパネティックス理論を著者流に応用していたりもするので、好き嫌いはあるかもしれないが、言っていることは、たとえば、池谷裕二の著作で言われていることと大きく違ってはいない。

最近、ある知り合いが「ちょっと調子の悪い時でも人と話す用事があると、その後は調子が良くなる」とblogに書いていた。この本でも高橋尚子が金メダルを取ったマラソンの後、自分の頭の中で友人たちと会話しながら走ったという事例を引き、会話をすると脳のある部位が刺激されるため脳の疲労を取ることができる、と説く。

性格の明るい人は脳の治療で治りやすく、性格の暗い人は治りにくい、かつ、脳の疲労を回復させる上でも性格が明るいことが重要、という。ここで「明るい」とは、「苦しい状況そのものを好きになる」ということ。脳の疲労は通常の生活のストレスでも発生するらしい。

「脳」本ブームも一段落したかな、と思っていたら最近この本の著者が新刊を出していた。