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2011/05/07

高橋洋一 「バランスシートで考えれば世界のしくみが分かる」

政府や日銀の資産状況をバランスシートで考える。政府をバランスシートで見ると、借金が1000兆円、資産が700兆円。この差額の300兆円が債務超過。
報道で1000兆円の借金というところだけが強調されるのはおかしい、と著者は書いている。
先進国は程度の差はあれ、たいてい借金が多くなっているらしい。

また、バランスシートの中で200兆円の資産は特殊法人などへの貸付金となっているので、これを減らせば政府のバランスシートが良くなる、とも言えるらしい。一般会計のバランスシートは赤字の一方で、特別会計のバランスシートは40兆円の資産超過。 この部分はたとえば、労働保険特別会計が6兆円の資産超過など、どんぶりで運用されている特別会計で浮いた分は天下り先に貸付金として渡されたりするらしい。6兆円もあったら無駄な博物館をつくってしまう気持もわからなくはないか。

また円高とデフレの関係についての説明はどこよりもわかりやすい。
日銀券を多く発行するとデフレからインフレ的になるので、デフレ解消に効果がある。
日銀のバランスシートを考えると、日銀券と国債が右と左でバランスしているので、日銀券を増やすには国債を、日銀券に釣り合う分だけ日銀に買ってもらえばいい。溝口介入と呼ばれる為替介入で円安になったのは、介入の効果というよりも介入のときにFBを発行して日銀がそれを購入したことでバランスシートが拡大し、日銀券を多く発行したことによるものだ。今は、市中でFBを消化するため、同じ効果がないのだ。

ギリシアと日本は全く同じではないが、似ているところはある。それは、政府が貸付金を大量に特殊法人に貸し付けているということである。しかし、ギリシアの年金は日本の3倍。日本は健全な支払い状況なのに、ギリシアのようになって年金も払えなくなる、という主張にそもそもおかしいところがある、など。最近の「ギリシアのようになってもいいんですか!」という菅総理大臣(2011年4月30日現在)の発言に解説をつけたりもしている。

年金が将来にわたって現役時代の半額支給はないだろうと予測されている。
年金が破たんすることはない。なぜならバランスしているから。逆に言うとバランスしているので、年金の支払い金額そのものは徴収額が減るのと合わせて、当然減っていく。「元々年金は、先に生まれた人が有利で、後から生まれた人は不利になる制度です。」
政府もここまではっきり言ってくれれば不安がなくなって(というか覚悟が決まって)いいね。


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